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世界中のダイバーを魅了する奇跡の海【パラオ】気になる近況は?

「初めて海外で潜るんだけど、オススメの海は?」とよく聞かれます。
日本からアクセスしやすく、バリエーションに富んでいて、ダイバーになったら真っ先に潜るべき海としてオススメしているのは

パラオ!

↑ランチタイムに立ち寄った無人島周辺は夢のようなソーダ色の海
(撮影していただいたのは水中カメラマンの鍵井靖章さんです!)

日本から直行便で約4時間半という近さにありながら、アンビリーバボーな景色に溢れていて、ワンダフルな体験が沢山できます! ダイバーならば

行かないと人生半分損します!

ホントそれぐらい、1度の旅行で沢山の未知なる景色に出会えるんです。

私も「月刊DIVER」の撮影で何度もパラオを訪れていますが、その度に忘れ難い素敵な思い出ができて、ますます海が好きになるんです。

↑タコクラゲがうじゃうじゃ群れる「ジェリーフィッシュレイク」。ここのクラゲは天敵がいないことから刺胞細胞が退化し、一緒に泳げるのです。ニュルニュルした感触に最初は身悶えますが、そのうちクセになります。

↑パラオを代表する地形ポイント「ブルーホール」。4つの縦穴から差し込む太陽光は青いシャワーとなり、宇宙的な空間が広がっています。

↑「月刊DIVER」スタッフの瀬木さん(左)と一緒にパラオ取材♪
「ミルキーウェイ」の海底に堆積している白い泥はミネラルをたっぷり含み、日本の化粧品会社も調査に来るほど美白効果があるそう。身体中に塗るのが定番の遊びです。


今回は、パラオのワンダフルな体験記をご紹介するとともに、気になる近況をお届けしたいと思います。最新情報&写真をご提供いただいたのは、長年懇意にさせていただいているダイビングショップ「ブルーマーリン」ガイド、富永直之さん! ありがとうございます!!

↑ブルーマーリン&系列ギフトショップのスタッフと、ご家族の皆さん。お元気そう!(2020年10月)

パラオの今

パラオは2020年4月から国境が封鎖されました。
日本人のダイビングガイドが大勢いらっしゃいましたが、パラオには民間企業への雇用助成金がないため、ほとんどの方が帰国。それでも月に1度はダイビング協議会の定例会が開かれ、クラウドファンディングで集められた協力金を元に、ビーチ&水中クリーンナップなど連携した活動が行われています。

↑「パラオ・ダイビング協議会」では月に1回クリーンナップが行われています。「ブルーホール」「バージンホール」の天井に溜まっていたゴミもすべて取り除かれたそう。


パラオは「コロナ感染者0」を貫いてきた世界的にも珍しい国です(2021年5月に1人、グアムからの渡航者に陽性者が出ましたが過去の感染歴に基づく感染力のないケースでした)。さらに成人のワクチン接種率もほぼ100%。島内の生活はまったく変わっていないそうです。いっぽう観光客ゼロが1年以上続き、経済は大変厳しい状況です。

そんな中、常連さんからは「パラオの海はどうなっているの?」「スタッフの皆さんは元気?」との声もあり、昨年9月からは有料サイトでパラオの最新映像を配信するサービスを始めました。

https://www.youtube.com/watch?v=AuVSuHEyo8Q

サイトには週2回、最新の水中動画などがアップされます。
詳細はこちら→http://meluis.com/member.html

富永さんの分かりやすい解説も魅力で「へーそうだったんだ!」という情報も満載。一緒に潜っているかのようなリモートダイビングが楽しめます♪ ぜひチェックしてください! 


富永さんは、映像撮影や新規ポイント開拓のためにコンスタントに潜っていらっしゃいます。
観光客ゼロの状況が1年以上続いている今、海はどうなっているのでしょうか? ここからは現地の最新情報を交えて記事を進めていきたいと思います!


群れ、群れ、群れ!
海のパワースポット「ブルーコーナー」


ダイバーの間では言わずと知れたパラオNo.1ポイント「ブルーコーナー」。私が初めて潜ったのは2003年。あれからたくさん世界中の海を潜ってきましたが、改めて「ブルーコーナー」がいかに特別なポイントかということに気付かされます。

↑水中リポーター兼編集者として初めてパラオに潜った時の写真。「ブルーコーナー」でブラックフィンバラクーダの群れと一緒に泳げたことに感動しました。

一見サンマみたいですが、体長は最大1.5mもあり丸々と大きいんです! そっと泳げば群れに加えてくれます。ここまで大きく群れていて人慣れしているのは世界でも随一だと思います。

観光客ゼロが続く中、このブラックフィンバラクーダの群れはどうなっているのでしょう? 富永さんに伺ってみました。

群れの規模は間違いなく大きくなっています。以前は毎日、絶えずダイバーがいたので、周辺に散らばっていた個体もいたはず。それが「ブルーコーナー」に戻ってきたのだと思います」(以下、青文字は富永さん談)

それは嬉しいニュースです!バラクーダも最近の「ブルーコーナー」の静けさに驚いているでしょうね。

そして「ブルーコーナー」では今年もツノダシの群れが観察できたとのこと!

(GoPro動画から切り出した画像をご提供いただきました)

【2021年2月撮影】
毎年1〜2月の数日間だけ、ツノダシが繁殖行動のために大きな群れを作ります。バラクーダとのコラボも美しいです。

リーフ沿いにはツノダシを狙った100匹以上のグレイリーフシャークが大集合します。 

パラオの水中では相変わらずダイナミックな生態シーンをが繰り広げられているんですね!


サメを助けたらジンベエザメに遭遇!
「サメの恩返し」伝説

前述のツノダシは2021年2月21日に撮影されたものなのですが、ダイビング後半にはジンベエザメと遭遇したそうです!(動画の最後にもバッチリ収められています)富永さん曰く

「2003年からパラオでガイドをしていますが、ジンベエに出会ったのは3回目。10m越えの大きな個体でしたよ! 坂部さんともジンベエ見ましたよね。『サメの恩返し』笑」

はい、ダイビング人生においてこれほどインパクト大な思い出はありません。



私、「ブルーコーナー」でジンベエザメを見たことがあるんです。

これを話すと大概驚かれます。前述のとおり、ガイドさんが約20年毎日潜っていても3回しか遭遇しないのですから・・・・・・。

その日は取材で吉本新喜劇の石田靖さん、水中カメラマンの鍵井靖章さん、前述のダイビングガイド・富永さん、パラオ人スタッフのクレイトンと「ブルーコーナー」に向かいました。

ポイントに到着すると、ボートを係留するブイのロープにグレイリーフシャークが首を絡ませ瀕死の状態でした。

歯を剥き出して苦しそうな表情。かわいそう・・・・・・でも私も大事な取材前ですから「ちょっと失礼」と、ラダーにつかまりサメを注視しながら「世界一怖いトイレ」を済ませました。するとサメがブルブルッと体を震わせ暴れ始めたんです。

瀕死のサメが急に元気を取り戻しました! クレイトンが救出のため背後からそっと近づきます。

首に絡まったロープを引き抜く勇敢なクレイトン

グレイリーフシャークは無事に大海へと戻って行きました。
よかったー! 船上は拍手喝采

「坂部さんがサメを生き返らせた」


石田さんと鍵井さんからは「女神だ」「聖水だ」と崇められ
「サメの恩返しがあるかもしれない」と、石田さんの一言に爆笑しながらエントリーしました。

その予言がまさか的中するとは知らずに・・・・・・

エントリーすると紺碧の海に包まれます。
中層にはギンガメアジの大きな群れ、グレイリーフシャークやカスミチョウチョウウオ、ヨスジウエダイ、ロウニンアジ・・・・・・数も種類もハンパない魚影に囲まれます。

「ブルーコーナー」はマクロも楽しいんです。
壁沿いの「マクロ穴」には、シコンハタタテハゼ(通称・ヘルフリッチ)やアケボノハゼなど、パラオでも限られた場所でしか見られない美しいハゼが生息しています。

ハゼ撮影に集中する鍵井カメラマン。

その背後にいた私は、ふと何かの気配を感じました。

??!!

振り返ると、遠くから水玉模様の生き物が向かってくる・・・・・・意外すぎて何だか分かるのに数秒かかりました。
「ジンベエザメーーーっ!鍵井さぁぁぁん!!」夢中で声を張り上げたのを覚えています。

鍵井カメラマンはすぐに異変に気付き、見事なフィンワークで撮影に成功しました。それが上の写真です! 背後に写っているのは富永さん。ちなみに富永さんはフリーダイビングの元選手でして、あっという間に追いつきました。さすがです!

ジンベエはめっちゃ速かったー。泳いで泳いでヘトヘトになりました。左端にうっすら見えているのは石田さんと私です。

大興奮のダイビングを終え、船上は大いに盛り上がったのは言うまでもありません。

グレイリーフシャークを助けたら、まさかのジンベエザメに出会えた!

パラオ特集はページ数を増やし、上の写真は見開きを飾ったのでした。これが伝説の「サメの恩返し」です。
石田さんによって随分と世に広めて頂きました笑。ありがとうございます。


(注:ボートにトイレは付いています)

「ブルーコーナー」の絶壁ドロップオフをバックに、歓喜に沸く取材班。左から石田さん、富永さん、私。
この頃「月刊DIVER」で石田さんが初めての海を潜るという連載を担当しておりまして、石田座長率いる「海の新喜劇」座員のていで撮影をご一緒していました。

この時は「パラオ新喜劇」座員として、「ブルーマーリン」スタッフの皆さんにも誌面にたくさんご登場いただきました。ありがとうございました!


パラオの海のポテンシャルは計り知れません。富永さんは2月にジンベエザメを目撃する前も、意外な大物との遭遇を果たしています。それは・・・・・・

マッコウクジラ!

【2020年10月6日撮影】
「オリジナルポイントで潜った後、約10頭ものマッコウクジラに遭遇しました。こんなことは10年に1度あるかないか。クリック音も体にビンビン響きました。感動!素晴らしい体験でした」

大興奮の出会いは動画サイトにアップされています。顔の表情もバッチリとらえています!


「パラオ新喜劇」のニューフェイス!?
フレンドリーなナポちゃん

これまで、国内外さまざまな海でナポレオンフィッシュを見かけていますが、「ブルーコーナー」のナポちゃんは人懐こくて驚きます。ダイバーを見れば寄ってくるし、馴染みのガイドさんにハグされているシーンも見たこともあります。

↑石田靖さんとの2ショットは特集のトップページを飾りました。「パラオ新喜劇」ニューフェイスっぽい映り込み!グッジョブ!

ベラ科最大種で、大きい個体は体長2m、200kg近くにもなります。
ブサカワなお顔、色鮮やかで美しい模様、とてもフォトジェニックで、撮影でもお世話になりました。彼らの近況も気になり富永さんに伺いました!

最近は数が増えてきています。昔は食用のため数が減り、捕るのはNGになっていましたが、ずいぶん数が戻ってきているから捕ってもOKにしよかという話になっているくらいです。今、ブルーコーナーには2、3匹縄張り張っているオスがいますし、どこにいっても普通にいますよ!」

そんなに!?笑 次に潜るのが楽しみになる情報をありがとうございます♪

ドラマティックな生態行動

パラオってすごいなーと思うのが、ガイドさんの知識と技術。潮流や月齢から生態行動を予測し、エントリーの場所とタイミングをピシャリと当てるんです。

ドラマティックな生命の輝きを目撃できるのはガイドさんのおかげです。新規ポイント開拓、生態調査は今も継続して行われています。

【2021年6月撮影】
カンムリブダイの産卵は、ブルーマーリンが調査・解明し2010年に世に発表した生態シーン。新月前になると1000匹以上が集まり一斉産卵をします。1匹のメスに複数のオスが擦り寄って上昇しながら放精・放卵するんです。白い噴煙のようなものが精子と卵子。リーフから沖へ向かって流れる潮に乗って受精卵が流れ大海へと拡散されます。

【2021年4月撮影】
コロールからボートで1時間10分、ペリリュー島沖では毎年3〜5月の新月前にイレズミフエダイが産卵のために大きな群れを作ります。このような魚の壁が数百メートル続くんです。

【2021年1月撮影】
「ジャーマンチャネル」でマンタの遭遇率が高くなるのは11〜1月。新月・満月の前はプランクトンを捕食するマンタが狙えます。縦回転をしたり、編隊を組んでダイバーの頭上をグルグルと回ったり。この日は7枚のマンタトレインが見られました。



再会を心待ちにしています

今回は主に生き物をフィーチャーしましたが、他にもまだまだ珠玉のダイビングポイントがたくさんあります。また改めてご紹介したいと思います!
最後に、富永さんに日本人ダイバーにメッセージをいただきました。

「僕らは今、なんとか再開を目指し、皆さんとまた一緒に潜れる日を心待ちにしながら頑張っています。日本も厳しい日々が続いていますが、心身ともに健康維持してお互い頑張りましょう」

↑ナイトマーケットで賑わうパラオ。感染者ゼロという羨ましい環境ですが、ダイバーに馴染みの飲食店「ドラゴン亭」「JYUJYU」「MOGMOG」はクローズしてしまいました。寂しいですが、多くの店舗は営業継続ないしは休業しながら再起を果たそうと頑張っています。早く自由な行き来ができますように。

↑ショップ前の美しい夕景も送っていただきました。数々の貴重な情報をありがとうございます。

私もパラオを訪れる日を心待ちにしております!!

>>アクセス(コロナ前の方法です。参考まで)

日本からパラオへはグアムを経由するか、成田などから直行便を利用。

✈︎グアム経由便:日本5都市(仙台、東京、名古屋、大阪、福岡)からグアムを経由してパラオへ。グアム〜パラオ間は約2時間でユナイテッド航空が毎日運行。トランジットも含めると7〜9時間ほどかかりますが毎日発着しているのでスケジュールが組みやすいです。

✈︎直行便:日本航空のチャーター便があります。成田〜パラオ間は約4時間半。