今こそ世界に発信したい、極上サンゴに囲まれたパワースポット【西表島】
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2021年がスタートしました。まだ自由に移動ができない日々が続きますが、籠りがちな今こそ深呼吸しながら海や自然に思いを馳せていきたいと思います。お付き合いただけると嬉しいです😊
さて、今回紹介するのは 「一番感動したサンゴスポット」について。
これまで国内外たくさんのダイビングポイントに潜ってきましたが、私が心底感動したのは
西表島です!
↑浅瀬の広大なサンゴ畑にハートを撃ち抜かれました・・・。枝サンゴが太陽光を受けて輝き、魚たちが舞っている様子はリアル龍宮城!
元来、地形や大物を狙うダイビングが好きなのですが、西表島の「クロミスヘブン」で枝サンゴの群生を見た時「この景色を見るためにダイバーになったんだ」と、込み上げる感動を覚えました。
ネオン街のようにカラフルなサンゴに、あまたの生物がひしめき合う躍動感。水中の大都市を見たようで、思わず「わーっ」と声が漏れました。
一般的なサンゴのイメージである「きれい」「癒し」を通り越し、「未知との遭遇」「冒険」が勝るシーンだったからかもしれません。
以来、私の中で西表島が世界のベストサンゴスポットとなりました。
そんな西表島の魅力をお伝えしたいと、いつも懇意にさせていただいている「ミスターサカナ ダイビングサービス」オーナーの「ミスターサカナ」こと笠井雅夫さんから水中写真をお借りしました!ありがとうございます♡
水面にも映るサンゴ礁。万華鏡みたい。
西表島は島の約90%が熱帯雨林の原生林で覆われ、固有の自然が広がっています。ダイビングをはじめ、シーカヤック、SUP、トレッキングなどネイチャーツアーも豊富にあり、子供から気軽に参加できるものがほとんどです。何が言いたいかというと・・・
多くの人に訪れて欲しいんです!
西表島は「東洋のガラパゴス」と称されることがありますが、絶滅危惧種や、日本でここでしか観察できない生き物など、見るものすべてが新鮮。そして有り難いことに、ダイビングガイドやネイチャーガイドのツアーに参加すれば、意外と簡単に見て回れるんです。
今回は、西表島がいかに豊かで貴重な島かということを解説しつつ、絶景スポットをご紹介したいと思います!
西表島ってどこにある?
東京から西表島へのアクセスを簡単に説明すると・・・
羽田空港
↓
(飛行機 約3時間半)
↓
石垣空港
↓
(タクシーかバス 約30分)
↓
石垣「離島桟橋」
↓
(フェリーで約40分)
↓
西表島
一見、ちょっと遠い気がしますが、たとえば早朝6時40分 羽田発の飛行機に乗れば11:40には西表島・上原港に到着できます。
西表島〜石垣島に広がる
日本最大のサンゴ礁域「石西礁湖」
「西表島は世界のベストサンゴスポット」と前述しましたが、地理的に見ても特別な場所であるのは明らかです。まずは上の衛星マップをご覧ください。石垣島と西表島の間に淡いブルーの海域が見えますよね?
ここが日本最大のサンゴ礁域、「石西礁湖」です!
「石西礁湖」は石垣島の「石」と西表島の「西」から名付けられ、その間にある竹富島、小浜島、黒島、新城島の周辺も含めた海域が、日本で一番サンゴが豊かなのです。
次に下のマップをご覧ください!簡単なサンゴ分布マップを作ってみました。
世界で最もサンゴが豊富なのがピンクで囲んだ海域「コーラルトライアングル」です。「石西礁湖」は「コーラルトライアングル」と黒潮で直結しているため非常にサンゴが豊かなんです。その理由は・・・
黒潮は、サンゴの成長に欠かせない温かい海水を運ぶと同時に、サンゴの幼生を供給しています。石西礁湖を通った黒潮は、沖縄本島、日本列島へと移動し、サンゴの幼生を運び続けます。
日本はサンゴの海としては北すぎるのですが、この黒潮の働きによって世界有数のサンゴの楽園となったのです。黒潮様様です。
さて、皆さんはサンゴの正体をご存知でしょうか。ここでクエスチョン!
Q サンゴは以下のうちどれでしょうか?
①植物
②動物
③岩
正解は・・・
「動物」です! 意外に思われた方も多いかと思います。
サンゴ1個体は「ポリプ」と呼ばれ、1cm以下のとても小さくふにゃふにゃの軟体。イソギンチャクに近い動物です。
ポリプは自ら石灰の殻を分泌して小さい部屋を作り、さらに体を分裂させてクローンを作っていきます。私たちが目にする岩状のものは「サンゴの群体」(上の写真のような)で、1室に1ポリプが暮らすマンションのようなもの。
ポリプは海中を流れてくるプランクトンを捕まえて食べていますが、体内には褐虫藻(植物プランクトン)も共生していて、褐虫藻が光合成で得た栄養や酸素も供給してもらっています。
??・・もう未知すぎますよね(笑)。もう少し分かりやすくお伝えすると・・・
自分の体から資材を生み出して家を建て、食事も呼吸もぜんぶ自分でまかなう、究極の自給自足を実践しているんです!
↑スカシテンジクダイ&キンメモドキの住み家となって賑わうサンゴの根(インダビシ西)
それだけではありません。海洋生物の約1/4がサンゴ礁を住み家にしていたり、サンゴが出した粘液(体についた汚れを落とすためや、乾燥から守るために分泌)が他の生き物の餌になったりしています。
地球上でこんなにもエコロジカルでピースフルな生き物がいるでしょうか!!
さらにーーー
サンゴには海水のCO2(二酸化炭素)濃度を調節する役割があったり、サンゴ礁の微生物には人が排出する汚染物質を吸収・無毒化する役割があったり・・・
サンゴは豊かな海の生態系を支えると同時に、地球環境に必要不可欠な存在なんです。
西表島を旅していると、地球上の自分の立ち位置や、自分がどう生かされているのか、何を大切にするべきかが見えてきます。
離れた場所にいても、サンゴと人間は影響し合っています。
地球温暖化や海洋プラスチックゴミも問題も、サンゴを目の前にすれば身近な問題となり、例えば日常生活でゴミを増やさない工夫をしたり、地球に優しいモノをチョイスしたり、価値観がシフトしていきます。
美しい海はかけがえのない学び舎です。
必潜!西表島のベストサンゴポイント
さて、西表島に数あるサンゴスポットの中で私のベスト3を発表します!
𓇼花畑のような枝サンゴの群生に衝撃を受けた「クロミスヘブン」
𓇼太陽を浴びて燦然と輝く浅瀬のサンゴが美しい「バラス東」
𓇼浅瀬のサンゴが水面にも映し出しされ、万華鏡の中にいるような「インダビシ北」
あくまでも私見ですが参考まで!
なお温暖化によるサンゴの白化が気になるところですが、ここ2年ほどは夏の間にときどき白化が見られるけれどほぼ元に戻っている、そんな良い状態が続いているそうです。
サンゴの絶景・珍景はまだまだあります
↑西表島沖にある、サンゴの欠片でできた砂州「バラス島」。遠くからでも美しいですが・・
↑近づくとソーダ色の海に感激! バラス島は上陸してスノーケリングを楽しむこともできます
↑ナイトダイビングも楽しい西表島。ブダイがサンゴの間に挟まって寝ている姿もあちらこちらで見かけます
日本一の魚種を誇る
浦内川にダイブ!
初めて訪れた時から西表島はとんでもなく特別な場所だと思っていましたが、4年前に「浦内川」で潜る機会を得て、さらにその思いを強くしました。
西表島には日本最大のマングローブ林が広がる中、大小40もの河川があります。中でも沖縄県で一番長い川「浦内川」には日本最多の407種の魚種が生息しています。
「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川の魚種が199種ですから、いかに飛び抜けた数字かがわかると思います。
「浦内川」では大潮の満潮時の朝に限り、スノーケリングツアーがリクエストできるとのことで、前述の「ミスターサカナ ダイビングサービス」オーナーのサカナさんに案内していただきました。初めてのマングローブダイブは・・・
水中で見上げるマングローブ林はアート作品のよう。木漏れ日が降り注いでいて森を歩いている清涼感に包まれます。生き物たちも初めましての面々で、すべてが新鮮!
浦内川には、日本でここでしか観察されていない種が16種、未記載種にいたっては23種(2014年)も生息しています。
↑主に東南アジアの熱帯域に生息するテッポウウオは、日本にはいないとされていましたが、1980年に西表島で発見されました。日本ではここでしか生息しない魚です。
↑サガリバナにちょこんと乗っているのはトントンミー(ミナミトビハゼ)。皮膚呼吸80%、エラ呼吸20%という独特な生態を持つ魚です(有明海の珍魚として有名な「ムツゴロウ」の仲間です)。泥地をテクテク歩く姿がコミカルで、よく動く丸い目がキュートなマングローブ界のアイドルです♡
↑満潮/干潮、大潮/小潮、日によってマングローブの森は冠水したり根まで干上がったり姿を一変させます。これぞ自然の造形美
西表島では、この類稀な生物多様性が開発によって壊されぬよう、研究者や地元のボランティアによる調査が続けられ世界自然遺産登録を目指しています。
𓇼𓇼𓇼𓇼𓇼ここで耳よりトピック!𓇼𓇼𓇼𓇼𓇼
前述のミスターサカナこと笠井雅夫さんが、浦内川の貴重な生き物や美しいシーンを収めた「精霊の宿る川」を上梓されました。浦内川を上空から水中から様々な角度で愛情深く切り取った一冊!いつか世界遺産になったら翻訳本も出して欲しいなぁ。
マングローブの川を巡る
カヤック&トレッキングツアー
緑深いマングローブの森をカヤックやSUPで巡るアクティビティも充実しています。ここでは、「ピナイサーラの滝」を目指すツアーをご紹介。
まずはマングローブに覆われた河口からカヤックを滑らせます。西表島では日本に生息する7種すべてのマングローブが観察できる・・・などなどネイチャーガイドの解説を聞きながら内陸へ
↑マングローブの住人、オキナワハクセンシオマネキのオスは、左右どちらかに大きなハサミを持っています。
↑カヤックを降りてトレッキングで滝を目指します。途中、国の天然記念物に指定されているサキシマスオウの大木も!
↑県下最大の落差と言われる約60mの滝、ピナイサーラの滝に到着。ランチを食べたり滝壺で遊んだり、マイナスイオンたっぷりのの空間で癒しのひとときを過ごします。
そして、西表島でぜひ見て欲しいのが・・・
水面に浮かぶサガリバナ!
サガリバナは夜に咲いて朝には散ってしまう一夜限りの花。
強い香りを放ち、夜行性の虫などを誘っています。
奄美大島から八重山にかけて分布しているのですが、西表島のマングローブにはサガリバナがたくさんあり、水面に花が落ちる早朝を狙ってカヤックで訪れるツアーが人気です。
綿毛のようなピンクの花がふわりと水面に浮かび、甘い香りと静寂に包まれる早朝のマングローブはじつに神秘的。開花は6月からですがピークは6月末〜7月中旬。お見逃しなく!
【topic】子供の頃から自然と親しむ!
エコツーリズムのススメ
私が所属していた「月刊DIVER」編集部の先輩方は、プライベートでも子連れで西表島を訪れていました。どんなふうに旅をしていたのでしょう・・・編集部OGの岡弥生先輩に聞いてみました!
↑長男(小学2年)・長女(幼稚園児)を含めた岡家の夏休みin西表島の様子(10年以上前です)。ホワイトボードで魚の解説をしているのは前述のサカナさん。描いているのはマンジュウイシモチかしら? 子供達は熱心に聞き入っています。ご長男はなんと現在、琉球大学で海洋生物学を専攻しているんですよ〜!
岡さんは懐かしそうに当時を振り返ります。
「ビーチで魚の子育てシーンを観察したり、サカナさんのボートでスノーケリングをしたり、滝&トレッキングツアーにも参加して、毎日がキラキラ輝く最高の夏休みでした!」
さらに、子供が自然と触れ合う大切さについても次のように話してくれました。
「最近は海がベタベタして嫌とか、虫が気持ち悪くて触れないという子供が増えてきているようですが、小さいときの自然体験が減っていることが一因だと思います。その点、貴重な自然の残る西表島は、虫が気持ち悪いとか考える余裕がないほど未知のワクワクがあふれていて、子供の自然体験にはぴったり。もともと生き物や海が好きな子供達でしたが、さらに興味が湧いただろうと思います」
自然を体験しながら学び、環境や地域への理解を深めていく・・・子供にとっても最高のエコツーリズムです。
パインも美味しい♪
島全体が癒しのパワースポット
西表島の大自然に触れたあとは、のんびりと街中散策も楽しいです。
宿泊施設が多い上原の街周辺には、八重山の伝統を体験できるミンサー織りやオリジナルアクセサリーが作れるお店も点在しています。食事も、新鮮な魚介類から山の幸、沖縄料理、バリエーションに富んでいて大満足。
沖縄の伝統建築にこだわった宿泊施設「琉夏(るか)」
初めて西表島でパイナップルを食べたときは本当に感動しました!それまでのパイナップルの常識を覆えす上品な甘さ。これは絶対に食べて欲しいです♪
さらに美しいビーチ、海に沈む夕陽・・・
西表島は、誰もが元気をもらえてハッピーになれるパワースポットです。
大自然に触れたい人はもちろん、心が疲れてしまったという人も、優しく受け入れてくれる癒しの島。今後の旅計画に是非✌🏻
↑島内の至る所にフルーツが実っています。バナナもパインもめちゃ美味しいです。無人販売でゲットしてお土産にするのもオススメ