【奄美大島】ミステリーサークルの匠は、キュートなアマミホシゾラフグ❤️
Table of Contents
海底に描かれた不思議な幾何学模様・・・
最近よくテレビでも取り上げられ「ミステリーサークル」。
奄美大島でしか見られないと話題を呼び、世界中の学者や水中写真家からも注目されています。
私もこの貴重なシーンを「DIVER」誌の取材中に目撃することができたんです。
奄美大島は、羽田空港から直行便で約2時間ほどとアクセスもよく、ヘビーリピーターのダイバーもいる超人気のダイビングスポット。
とても大きな島で、ダイビングエリアは南部、中部、北部と分かれています。
私がその時に取材したのは、空港が近い北部の海でした。
「ミステリーサークル」といえば南部(空港から車で数時間)が有名でしたので、まさか取材先の北部の海で見られるとは思いませんでした。
海底に刻まれた
幾何学模様の正体は?
↑海底に現れた直径2mほどのミステリーサークル
「ミステリーサークル」は、1995年くらいから観察されていたものの、
誰が?何のために?作っているかは長年の謎でした。
解明されたのはホント最近なのです。
それが明らかになった経緯は・・・
2011年
奄美大島の南部で、小さなフグがミステリーサークルを作っているシーンを水中写真家の大方洋二さんが撮影。その後の調査でフグの産卵床であることが明らかになる。
2014年
ミステリーサークルを作っているフグが新種であると判明。
「アマミホシゾラフグ」と命名され、2015年にニューヨーク州立大・国際生物種探査研究所により「世界の新種トップ10」に選出される。
貝殻を飾る!?
スイートな新居を作るワケ
私がミステリーサークルを目撃したのが2018年7月、奄美大島北部にある「バベル」というダイビングポイントでした。
これまで北部の海では「サークル」は見られていたものの、フグの姿は見られなかったのですが、お世話になったダイビングサービス「ネバーランド 」オーナーの古田さんがポイント開拓にとても熱心なガイドさんで、取材数日前に、ついに作業中のフグを観察することに成功したんです!
今回は古田さんから素晴らしい写真をお借りすることができたので、さっそくご紹介しましょう〜
↑「ちょっくん」こと古田直基さん(右)が案内してくれました。素晴らしい写真もご提供いただきありがとうございます!
早朝に羽田を旅立ち奄美に昼過ぎに到着し、そのまますぐに港へと移動して、正直ちょっと眠かったのですが、ミステリーサークルが見られるかもと聞き、完全に目が覚めましたw
いざ、現場を目指してエントリー。
↑サークル作成中のオス。とても小さい体で、パワフルに放射線状の溝を作っていきます
透明度の高い海、だだっ広い白砂の海底に突如現れた直径2mほどのサークル・・・とても自然にできたとは思えない形です。
最初に見つけた人はさぞびっくりしただろうなぁ。
ネットリとした泥まじりの白砂に、放射線状の溝が定規で測られたように描かれたサークル。それを壊さないように、静かに着底して撮影の準備をしていると、間も無く体長10cmほどの小さなアマミホシゾラフグのオスが登場しました!!!
お目々まんまる、コミカルな表情、めっちゃかわいい!
我々を警戒しつつも、全身を使ってサークルをデザインする勇姿を披露してくれました。
砂に身を深く沈めたり、お尻フリフリ放射線状に砂を彫ったり・・・
顔の表情もくるくると変えて働く健気なフグに愛おしさを覚えます。
最後に動画を貼り付けましたので、そちらをチェックしてください!
じゃじゃーん!
約1週間でサークルが完成!
↑よ〜く見てください
仕上げに貝殻が飾られています。
なんとロマンティック😍
その理由は・・・広く単調な海底が続く中、メスがこの産卵床の存在に気づきやすいように、と考えられています。
完成までの間、オスはサークル内のゴミを外に出したり、他の魚の進入を阻止したり、健気にサークルを守ります。
天才!神!ノーベル賞をあげたい!
命をつなぐための設計図
この産卵床をメスが気に入れば、中央で放精・産卵が行われます。
↑卵はサークルの中央に生み付けられます
↑卵のお世話をするオス。心なしか目がつり上がっているような・・・一生懸命です
↑ヒレを使って卵に新鮮な水を送り込んでいます
サークルを制作したり、卵のお世話をしたり、
生命のバトンをつなぐための本能に感服します。
さらに、サークルの外側に作られた山と谷の役割もまた奥深いんです。
①中央の卵に常に新鮮な海水が送り込まれるよう、潮通し良く設計
②卵が流されないように設計
と考えられています。
命をつなぐための設計図なんですね。
スゴイ、天才、神 !
ダイビングをしていると、このような自然の神秘に触れることたびたびあるのですが、ミステリーサークルは強烈なインパクトでした。
ところで、並々ならぬ努力の末に出来上がったミステリーサークルですが、メスが気に入らないと使われないパターンもあるそうです。魚の婚活もシビアです。
奄美大島でしか見られないこの貴重なシーン、
観察できるのは3月末〜7月末までの期間限定なのでお見逃しなく!